2011年09月27日

異文化理解の倫理について考える −自民族中心主義・同化主義・文化相対主義・多文化主義−

異文化理解に関する倫理について考えたいと思います


・異文化理解の現状について

 ※前提として、社会には、200近くの独立国家と6000近くの言語がある
  →・このことから、世界全体が、多言語多民族国家であることがわかる
   ・人々の移動がグローバルになったことが後押しをして、多くの出会いがあり、多文化状況が進んでいる

 ・以上のように多文化状況が進んでいる中で、現在2つの状況が生じている
  →・民族や文化を、組み合わせて一つにしていくことが難しく、自分達の文化を強調したい、という意識などから
    民族紛争が起きている
   ・異文化に触れることで、新しい文化を作って、社会が豊かな方向に向かっている
    ※日本思想は、まさにこのような状況で歴史が作られてきた


 →そこで、世界をよりよくしていくために・・
  ・日本国憲法の中にある、「平和のうちに生存する権利」の実現が重要であり、異文化が共生することが必要
   →そのための最初の段階として、異文化の理解が必要だと言われている
    ※中でも、マイノリティ文化(少数派の文化)を理解して、尊重することが大切だと言われている




・自民族中心主義について

 ・前提として、昔は異文化を理解しないで、排除する傾向があった
  例−・古代ギリシアの人達は、ギリシア語を話さない異民族を「バルバロイ」と言って差別した
    ・儒教の文化の場所では、自分を「中華」と呼び、異民族を「夷秋」と言って差別した etc

 →このような考え方の根本には、自民族中心主義エスノセントリスム)の考え方があると言われている

   ※自民族中心主義(エスノセントリスム)とは・・
    →自分の文化を基準にして、他の文化を評価するといったような、自分を中心とした考え方のこと

 ※自民族中心主義は、避けられないことかもしれないと言われている
  →理由・・全員が自分の文化で生活し、体の中に自分の文化が染み込んでいて、他の文化を受け入れることが
       難しいと思われるから




・同化主義について

 ・昔は、異民族の統合の方法として、同化主義が取られていた

  ※同化主義・・少数派(マイノリティ)の民族を、多数派(マジョリティ)の民族の中に吸収させて混ぜることで
         民族を統合する方法のこと。
         日本の風潮には、同化主義の傾向がある

 →同化主義の考え方は、少数派の意見や考えが潰されると同時に、同化に否定的な人を差別したり、
  排除してしまったりする可能性があると言われている




・文化相対主義について

 ・そもそも、文化相対主義とは・・
  →・レヴィ=ストロースという人が提唱した
   ・全ての文化は、その土地や環境などに合うように作られて行ったから、様々な文化にはそれぞれに独自の価値があり、
    どれが良くて、どれが悪いなど、文化に良いも悪いも無いとする考え方のこと
   ・そのため、文化を理解しようとする時は、いつも周りとの関係の中で見てみることが大切だと考えられた
    例−人は時間や場所によって、立場が変わる etc

 ・文化相対主義は、自民族中心主義や同化主義の考え方から抜け出す必要があるという考えを土台にして考えられた
  →そこで、人々は自分の文化だけでなく、多くの文化に戻ってくるべき、という考えが生まれ、
   文化相対主義が考えられるようになった




・多文化主義について

 ・多文化主義とは・・多数派の文化が、積極的に少数派の文化を受け入れていくべき、という考え方のこと
  →同化主義に対して生まれた考え方で、現在の段階では有力な部分もある

  ※多文化主義の考え方の中には・・
   ・積極的差別是正措置(アファーマティブ=アクション)の考え方も含まれている
   ・民族的マイノリティやエスニック集団などを含めて、多様に受け入れていく考えも踏まえられている
    ※民族的マイノリティ集団・・自分の文化の場所に元々住んでいる人のこと
     エスニック集団・・自分の出身国を離れて、別の場所にいても、自分の元々の文化を忘れない人のこと


ポイント
・多文化状況の現状で、民族紛争や積極的な文化の受け入れ、という2つの動きがある
・現在は、異文化の共生のための、異文化の理解が必要だと言われている
・昔の異文化を排除する動きには、自民族中心主義の考え方が流れていると言われているが、克服が難しいとも言われている
・同化主義は、少数派を尊重しなくなるので、良くないと考えられている
・文化相対主義は、レヴィ=ストロースが提唱し、自民族中心主義や同化主義の考え方の変換のために生まれた
・多文化主義という考え方が重視されている

このあたりが今回のポイントです

posted by はげまる at 02:10| Comment(2) | 倫理 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする