2011年09月28日

福祉の倫理について考える −ロールズとセン・ODA・ステレオタイプ・オルポート−

福祉の倫理について考えたいと思います


・福祉について提唱した人達の中で、代表的な人達に、ジョン=ロールズとアマルティア=センという人達がいる


ジョン=ロールズについて

 ・基本財基本善)を、全員が自分の思い通りの生き方を選ぶことができるように分けた上での民主的な社会が大切だと考えた
  ※基本財(基本善)・・一人一人が理想の生活を送ることができるようにするために必要なものこと
             (例:お金や名誉など)
   →そこで、ロールズは、基本財をどのように分けるか、という部分の正義について考えた

 ・正義について考え、「正義論」という本を書いた



アマルティア=センについて

 ・どのような福祉が良いか、ということについて考えた

 ・センは、福祉は、「五体満足か」、「公共施設はどの程度あるか」などのように、
  人々がどのような状態か、どのような行動が取れるか、というような、状態や選択肢の一つ一つを機能と名づけた
  そして、その機能をまとめて、潜在能力と名づけた
  →福祉とは、潜在能力(=人々が自分自身で選ぶことができる人生の選択肢)がどの程度あるかで評価するべきと考えた


 ※セン以前の福祉の評価の方法として、代表的なものの1つに、功利主義があった

  ・功利主義的な福祉の評価の方法
   →効用(どれくらいの快楽や欲求を満たすか、という満足度)の多さで評価した
   
   ※ただし、効用は、同じ内容でも、幸福度が変わってきてしまうことが問題とされた
    例:ものすごく貧乏な人への1万円は幸福度が高いが、大金持ちに1万円を渡しても幸福にならないかもしれない




ODA政府開発援助)について
 ※ODAは、世界全体の福祉を考える上でも重要な役割を果たしている

 ・ODAの正しいあり方について
  →・援助の金額よりも、援助したお金が、人々の潜在能力を増やして、民主化を促しているかが大切だと言われている
   ・その場所に応じて、お金の使い方を変える(援助した国が、援助された国を操ったら意味がない)
   ・援助を意識するあまり、環境を無視する、ということをしてはいけない

   ※このようなあり方は、NGO非政府組織)にも同じようなことが言えると言われている




・差別と偏見について
 ※なぜ、福祉において、差別と偏見が取り上げられるのか
  →差別や偏見は、福祉の邪魔をしたり、潜在能力を下げたりと、様々な問題を引き起こす可能性があるから

 ・差別と偏見において大切なこと
  →差別がある、ということは事実であり、そのことを認めなければいけない
   ※「差別はない」とか、「差別はあるとしても自分は差別をしない」などのような思いこみはしてはいけない

 ・差別の現状
  ・自分たちの仲間意識が強くなると、仲間意識がない他人を無視したり排除したりする傾向がある
  ・ステレオタイプ(すでに固定化されているイメージのこと)が根強い
   ※ステレオタイプで考える人は、その人が自分のダメな部分を知っているにも関わらず、自分でダメな部分を
    認めないようにして、そのダメな部分を自分が差別したい人に投影する場合が多いと言われている


 ・差別や偏見について考えた人に、オルポートという人がいる




オルポートについて
 
 ・オルポートは、偏見する人の心の特徴は、過度の一般化(オーバー=カテゴライゼーション)だと考えた
  ※過度の一般化・・差別されている人を、一人の人間として扱わずに、中身をちゃんと見ようとしないこと
           (例:ある高校の生徒の制服が乱れている姿を見ると、その学校の生徒全員が乱れているように
              思ってしまう)


ポイント
・ロールズは、基本財などを使いながら、正義について考えた
・センは、機能や潜在能力で福祉を評価するべきと考え、功利主義などの評価方法とは違う考え方を提示した
・ODAは、民主化を促すことや、資金の使い方を意識するべきであり、NGOにも同じことが言える
・差別を事実として受け止め、ステレオタイプや、オルポートの過度の一般化がある現状を認識するべき

このあたりが今回のポイントです

posted by はげまる at 01:17| Comment(0) | 倫理 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする